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【菜鸟网络(Cainiao)】アリババグループによる物流プラットフォーム :中国ユニコーンFile010

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Cainiao(菜鸟网络)

目次
■サービスの簡単な説明
■定量説明
■創業者の紹介
■会社の歴史
■サービスの説明
■今後の展開

サービスの簡単な説明

Cainiaoは、アリババグループを筆頭として、中国で百貨店を展開する銀泰グループ、中国の主要な宅配便各社などが協同で設立した、スマート・ロジスティクス・バックボーンネットワーク・プロジェクトを展開する会社です。

バックボーンネットワークとは、大規模な通信ネットワークにおける、拠点間、事業者間を結ぶ高速で大容量の基幹ネットワークを指しますが、ここでは、eコマース事業者と宅配便各社そしてユーザーを結ぶ、物流ネットワークのプラットフォームを指しています。

Cainiaoは、2013年に設立されており、スマートロジスティクスにおける開放されたプラットフォームサービスを展開しています。

彼らは設立当初から以下の2つの目標を掲げています。

一つ目は、eコマース売上げ額で1日平均300億元の物流を支えるバックボーンネットワークを構築すること。

二つ目は、中国全土のユーザーがインターネットショッピングで買い物をしてから24時間以内に商品を届けるということです。

定量説明

  • 創業年: 2013年
  • 時価総額:500億元
  • 社員数: 公開されていません
  • カテゴリー: 物流ネットワークサービス
  • サービスのユーザー数: B2Bが主なサービスとなりますが、コンシューマー部分では、アリババが展開するeコマースビジネスのユーザーが潜在的ユーザーと言えます
  • 投資元: アリババグループ、銀泰グループ、GIC、淡馬錫、春華資本、複星投資等
  • 場所: 深圳市前海深港合作区前湾一路1号

創業者の紹介

Cainiaoは、上記のような複数の関係各社による協同設立という成り立ちをもつため、創業者として挙げられる人物はいません。

しかし、その設立背景にはアリババ・グループが深く関わっていますので、ここではアリババ・グループがその設立にどのような思いを持っていたのか、探っていきたいと思います。

2013年、Cainiaoを設立するにあたり、アリババ・グループ現会長のジャック・マーは、こう語っています。
「物流企業を始めるのは今時の考え方じゃない。4~5年前の考え方だ。」

この言葉には、2つの意味が含まれていると考えられます。

まず一つめは、アリババ・グループは、Cainiaoの設立前から、eコマースビジネスの物流部分をよりスマートにするための方策を考えていたのだということ。

そして、2つめは、2013年の段階で、アリババは自身が物流会社を立ち上げるよりも、Cainiaoという物流ネットワークのプラットフォームを構築するほうが、より素晴らしい問題解決になると考えたのであろうということです。

事実、2010年には、アリババは中国の宅配便企業に投資を行い、2011年には、独自の物流トレサビリティサービスもローンチしています。

アリババeコマースビジネスのユーザー満足度を更に引き上げるためには、物流をコントロールし、より素早く、より正確に、注文された商品をユーザーまで届けなくてはならない、そういった考え方には何の矛盾点もないでしょう。

日本では、以前より宅配便各社が高品質・低価格のサービスを展開していたため、当時からeコマースで注文された商品は素早く正確にユーザーのもとに届けられていました。

しかし、中国では、ユーザーが満足できるレベルの物流サービスは少なく、アリババが投資を行った宅配便会社でも、その問題を根本的に解決することが出来なかったのではないかと考えられます。

そのような状況の中、ますます販売量を増すeコマースの物流をコントロールするため、アリババは、中国の宅配便各社が参加できる開放型プラットフォームとして、Cainiaoの構築に動き出したのだと思われます。

会社の歴史

2013年、杭州にあるアリババ社屋で、Cainiaoの設立発表が行われました。

その際、ジャック・マーは、以下のように強調しています。
「アリババグループは、宅配便の会社を立ち上げたりはしない。Cainiaoのスマートバックボーンネットワークは、宅配便各社のビジネスを奪うものではない。」

この言葉には、アリババの宅配便各社への配慮が含まれていると思えます。

Cainiaoが構築する開放型プラットフォームには、より多くの宅配便業者が参加することが理想であり、それによってアリババは、eコマースで買い物をするユーザーの満足度を高めることが可能となります。

Cainiao董事長であり、アリババ・グループCPOである童文紅も、このように語っています。

「Cainiaoはプラットフォームであり、運送トラックを会社に揃えることもなければ、セールスドライバーを雇うこともない。我々はただのプラットフォームだ。」

プラットフォームとして誕生したCainiaoは、その後も投資を集め、カバーする地域を増やしながら成長していきます。

2016年には、アリババの関連会社であるアント・フィナンシャルサービスグループ傘下のMYbank(网商銀行)と共に、金融サービスをオンラインにし、Cainiaoプラットフォームに繋がるパートナー企業が簡単に借り入れを行えるようになりました。

これにより、eコマース店舗は繁盛期にも事前に在庫の大量仕入れを行えるようになり、物流パートナーも人員の確保が容易となるなど、プラットフォームを起点としたサプライ・チェーン・マネジメントも加速させています。

サービスの説明

先述の童文紅は、以下のようにも語っています。

「一つのプラットフォームに情報が集まることによる規模拡大効果は、様々な利便性をもたらす。これは業界の特性であり、無視することの出来ない客観的な法則だ。」

Cainiaoが構築したプラットフォームは宅配便業者の物流システムやサービスドライバーを助け、ユーザーからの信頼性向上に寄与します。

スマートロジスティクス・バックボーンネットワークは、宅配便各社のネットワークだけではなく、eコマース店舗とユーザーにも開放されているため、物流に関わる問題を未然に防ぐと共に、問題解決のための時間もより早くすることが可能です。

宅配便各社は、プラットフォーム上に開放されているIoTやクラウドコンピューティング等の技術資源を使用することが出来、物流倉庫のスマート管理など、より高品質なサービスを構築することが容易になります。

童文紅は、Cainiaoのもっとも素晴らしい点は、そこに集まるデータである、と語っています。

ユーザー、eコマース店舗、物流、それら全ての情報が、ビックデータとしてプラットフォームに蓄えられることの効果は多肢に及びます。

たとえば、2016年から始まった金融サービスでは、サプライ・チェーン・マネジメントとしてMYbank(网商銀行)とともにパートナー企業へ貸付を行っていますが、そこでは、資金回収リスクをコントロールするために、ビックデータによる信用リスク管理が行われています。

これによって、既存の金融サービスよりも圧倒的に早いスピードで、適正な貸付をeコマース店舗等へ行うことが可能となり、Cainiaoの利用価値を更に高めることに繋がりました。

中国では中小企業が銀行から借り入れを行うことはとても難しく、また、その審査にかかる時間や手間も膨大です。

しかし、Cainiaoのプラットフォームに蓄えられたビックデータとアルゴリズムを使用すれば、過去の販売実績や適正な在庫量等を参考に、そのeコマース店舗がどれほどの支払い能力があるのかを、オンラインで自動的に計算させることが可能です。

これは、11月11日の中国のショッピングイベント等の繁盛期に、eコマース店舗が資金調達難という理由によって、在庫を大量に仕入れることが出来ず、機会損失を発生させてしまう事象を防ぐことに繋がります。

そして、同時に、それはユーザーが買いたかった商品の欠品を防ぐとともに、そのeコマース店舗が出店しているTABAO(淘宝:アリババのオンラインモール)の機会損失をも防ぐということであり、より大きな相乗効果を生み出します。

今後の展開

eコマース企業が物流をコントロールしようとも、物流企業がeコマースをコントロールしようとも、それは既存のサービスの枠を超えた発展を促すことに繋がり、ユーザーに更なる利便性をもたらす、これは、物流を研究する復旦大学教授の言葉です。

2018年2月、Cainiaoと、同じくアリババグループの天猫国際(Tmall Global)は、ブロックチェーン技術による輸入商品の管理システム運用を開始すると、共同発表しました。

そのシステムでは、現在までに50の国と地域から輸入された3万種を超える商品がブロックチェーンによってトレサビリティ出来るようになっており、生産から運送、輸出入の通関・検査、ユーザーまでの配送等、全ての情報をQRコードで管理・閲覧することが可能となっています。

こういったトレサビリティのニーズは、中国ではとても高く、その背景には、黎明期の中国eコマース業界で多く指摘された商品偽装を、ユーザーが未だに心配しているという実情があります。

しかし、ブロックチェーン技術の登場により、上記のような信頼されるトレサビリティ能力と優れた改ざん耐性を備えたサービスは、これからもCainiaoのラインナップに多く加わっていくことになると予想されます。

Cainiaoは、業界を超えた広範囲に影響を与えることが出来る能力と、ユーザー満足向上のためのビジョンを併せ持っており、これからも絶え間ない革新を行う企業となるのではないかと思われます。

それはまた、競争の激しい物流業界での優位性を意味し、Cainiaoの発展のみならず、アリババが提唱するNew Retailing(新零售)を実現するための重要な要素を構築することになるのではないでしょうか。

 

参照
・https://baike.baidu.com/item/%E8%8F%9C%E9%B8%9F%E7%BD%91%E7%BB%9C%E7%A7%91%E6%8A%80%E6%9C%89%E9%99%90%E5%85%AC%E5%8F%B8/5130822?fr=aladdin&fromid=7630892&fromtitle=%E8%8F%9C%E9%B8%9F%E7%BD%91%E7%BB%9C
・https://baike.baidu.com/item/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E6%99%BA%E8%83%BD%E7%89%A9%E6%B5%81%E9%AA%A8%E5%B9%B2%E7%BD%91
・https://baike.baidu.com/item/%E7%BD%91%E5%95%86%E9%93%B6%E8%A1%8C
・https://www.leiphone.com/news/201802/hL5Ox0UKXshmWoPx.html
・http://news.foodmate.net/2018/03/460670.html
・https://www.itouzi.com/licai/hulianwangjinrong-P2Pzixun/32454.html





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